「好きな花は?」と聞かれたら、すかさずに「ニリンソウ(二輪草)」と答えています。花の名前を聞いた人は「それってどんな花?」と不思議そうな顔をすることが多く、それは、たぶん「バラ」や「チューリップ」など一般的な花をイメージしていて、予想外の花の名前に驚かれたのかもしれません。
ニリンソウは背丈が20センチほどの高山植物(草花)なので、もちろん花屋さんにも売られていないし、花を摘んで部屋に飾ることもありません。(基本的に高山植物を採取することは禁じられている場合が多いようです。)
ニリンソウは、イチリンソウ属の植物で日本全国の野山に自生し、春になると真っ白な花を咲かせます。ニリンソウという和名は、一つの茎に二輪の花をつけることが語源になっていますが、中には、一輪だけ咲いているものや三輪ついているニリンソウも見つかります。花の色も淡いピンク色をした品種を見かけることもあります。
ニリンソウの花言葉は「友情」で、これは一つの茎に仲良く花が二輪咲く姿にちなんでいます。他にも同じ語源で、「協力」「ずっと離れない」というものもあり、同時に、猛毒であるトリカブトと葉がそっくりであることから「予断」という花言葉もあるそうです。
何故そんなニリンソウに心を惹かれたのかというと、やはり山好きで若い頃からずっと山に登ってきたこと、山に向かう途中で可憐に健気に咲いているニリンソウを何度も見かけていたことが好きになった始まりなんだと思います。それでも山に咲く多くの高山植物の中からニリンソウを選んだ理由は、自分の誕生月5月の星座「双子座」を意識したことが根底にあったのかもしれません。ニリンソウと双子座、二つに共通する「2」という数字に惹かれたのも理由の一つだったのかも。
「2」は数字における最初の偶数であり、別々のものが一つになるという調和や統合という意味もあるほかに、二つが分裂や対立することも意味します。
また、「二番煎じ」や「二重底」「二束三文」など良くない表現に用いられることも多い反面、「二人三脚」「一石二鳥」「唯一無二」などポジティブな言葉も存在します。
聖書においても、「2」は人を意味すると考えられています。人間には罰というものが存在するために、罰のある部分とそうでない部分の二面性があり、心の内部でもいつも二つに分かれているからという考えだそうです。
このほかに、「2」は、「光と影」「陰と陽」「善と悪」など、相反する二つのものを表すとともに二元論の基本となっているとのこと。
さて、そんなニリンソウを見かけるには、やはり「上高地」がお薦めです。花の時期は例年5月中旬から6月上旬頃。清流の梓川にかかる河童橋を過ぎ、川沿いのケショウヤナギ(名前の由来は、NHK朝ドラの主人公である植物学者:牧野富太郎により、春先になると白い粉を吹き、まるで化粧をしているような姿をとらえて名づけられた。)の綿毛が飛ぶ道から静かな森の中を梓川上流に向かって歩きます。
途中、明神を過ぎるあたりで観光客の混雑もだいぶなくなる頃、春の訪れを知らせるニリンソウが咲いているのを見ることができます。明神池から徳沢に至るハイキングコースの所々に咲く白い花は可憐ですが、一方で厳しい冬の寒さを乗り越えた生命力に溢れる躍動感があります。そして、森を抜けたところで、草原が広がる徳沢に到着します。明神から徳沢までの道端、そして徳沢キャンプ場は上高地最大級のニリンソウの群生地です。
今年は雪解けも早く、暖冬の影響から春の訪れも早いようで、ニリンソウの花の時期も早まっているようです。このブログがアップされる5月中下旬が花の見頃になるようなので是非一度、風薫る新緑の上高地を訪れて白い可憐な「ニリンソウ」を愛でて欲しいと思います。可憐に咲くニリンソウの健気さにきっと元気をもらえることでしょう。
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